
今回の植物本じまんは2冊ご紹介します。
「樹に聴く 香る落ち葉・操る菌類・変幻自在な樹形」
清和 研二 著/築地書館
「樹は語る 芽生え・熊棚・空飛ぶ果実」
清和 研二 著/築地書館
🌳大学教授の研究と樹木愛がつまった本
この本は、東北の森の研究を大学生たちとともに続けている大学教授の著者がまとめた、樹木への想いがたっぷり詰まった本です。
2015年に発行されてから、本屋や図書館などでよく見かけるので、長く読まれている本なのだと思います。
樹木好きにとっては、清和先生の樹木への想いそのものが、心に響く一冊。
おそらく2冊まとめて読んだほうが面白いと思うので、今回は一緒にご紹介します。
🌱東北の森に生きる24種の木々
この2冊は、東北の森に生育する24種の木々について、その生態と、著者が長年観察を続けるなかで感じてきたことが綴られています。
長年積み重ねてきた研究データに、筆者の樹木への愛情が加わり、まるで一種一種の木の「生きざま」を見せてもらっているような気持ちになります。
水辺に生きるハルニレから、明るい攪乱地に生える木、老熟した森の木、森の隙間で育つ木まで。
東北に住む人にとっては身近な木々であり、それ以外の地域の人にとっても、山地へ行けば出会うことのできる木々です。
「なぜ、この木はここにいるのだろう?」
そんな疑問を、生態からひも解いていくことで、いつも見ていた木の姿が違って見えてきます。
🍂樹木の「生き様」が見えてくる
この本を読んでいると、樹木もまた、生きていくためにさまざまな戦略を持っていることに気づかされます。
動くことのできない樹木が、どうやって子孫を残し、森の中で生き延びていくのか。
種子の大きさによる発芽条件の違い。菌根菌との関係。
どこから種が運ばれてくるのか。どんな場所なら芽生えが育つのか。
特に、菌根菌の種類によって生存率が変わることや、種子の大きさによって発芽する条件が違うことには驚きました。
論文や専門書をじっくり読まなければ知ることのできないような情報が、わかりやすく書かれているのも、この本の大きな魅力だと思います。
動かないことを選んだ樹木たちは、実はとてもアクティブに、生き残るための戦略を繰り広げている。
そう思うと、いつもの森の風景が、まるで違うものに見えてきます。
🌳森を再生するために、森を知る
本のなかには、森の再生について考えさせられる部分もあります。
単純化し、劣化してしまった森を本来の多様な森に戻す。
水辺の森をもう一度よみがえらせる。
そのためには、どこから種が飛んできて、どんな場所で芽生え、どうすれば木々が育っていくのかを知らなければなりません。
水や空気をきれいにし、洪水や渇水を防ぐといった「生態系機能」をどう取り戻すのか。
木材を収穫しながら、生態系を維持することはできるのか。
野生の生き物たちと共存していくことはできるのか。
そうしたことを考えるためにも、まずは成熟した森で木々がどんなふうに生きているのかを知る必要がある。
そんな著者の思いが伝わってきます。
🌿「物言わぬ樹の代弁者になりたい」
著者は、「物言わぬ樹の代弁者になりたい」と書いています。
木々がもし語ることができるなら、今、何を言いたいのだろう。
そんな思いで書かれたこの本には、研究者としての知識だけではなく、木々への深い敬意と愛情が込められています。
「今一度、木々の身になって考えてみよう。木々それぞれの声に耳を傾け、木々と人間が共存できる世の中がつくれないのか考えてみたい。」
この言葉にも、清和先生の樹木への想いが凝縮されているように感じます。
🌳清和先生の本に、今また夢中
清和先生の本は、これまでも何冊か読んだことがありました。
でも、ここにきて、ぐわーっとその魅力にはまり始めています。
樹木のことを知れば知るほど、木は「そこにあるもの」ではなく、それぞれに生き方があり、森の中で役割を持って生きている存在なのだと感じます。
そんな樹木たちのたくさんのメッセージを受け取ってみたい。
そんな気持ちになる2冊です。
清和先生の世界観をもっと知るた、先生の本のご紹介を続けたいと思います。


Leave a Reply