植物本じまん6冊目は世界の樹木をめぐる80の物語です。

世界の樹木をめぐる80の物語
ジョナサン ドローリ (著), ルシール クレール (イラスト)
イギリスのキュー植物園の近くで生まれ育った著者、ジョナサン・ドローリによる一冊です。
世界各地で大切にされている樹木を80種選び、それぞれの木にまつわる科学、歴史、文化、民間伝承を織り交ぜながら紹介しています。
樹木にまつわる不思議で魅力的な物語を、美しいイラストとともに楽しむことができる、まさに「世界の樹木をめぐる旅」のような本です。
原書のタイトルは、八十日間世界一周(Around the World in 80 Days)にならった Around the World in 80 Trees。
その名のとおり、樹木を追いかけながら世界を東回りで一周する旅物語のような構成になっています。
著者は、それぞれの木がひとつの世界であり、私たちはそれを正しく理解しなければならない。そして今、多くの木々が保護を必要としているのだと語ります。
このエピソードからも、著者が樹木への深い敬意と危機感を持って本書を書いたことが伝わってきます。
また、本書の構成も魅力的です。
八十日間世界一周 に着想を得て、ヨーロッパから始まり、アフリカ、中央アジア、東アジア、オセアニア、南米、北米へと巡っていきます。
ページをめくるたびに、本当に世界一周の旅をしているような気持ちになります。
特にアフリカやオセアニアの章では、これまで聞いたこともない樹木が数多く登場し驚かされました。
なかでも、赤い樹液を出す「竜血樹(ドラゴンブラッドツリー)」や、青い樹液をもつ「セーブ・ブルー」の話は強く印象に残っています。
そして私が特に素晴らしいと感じたのは、巻末の参考文献の充実ぶりです。
参考にした書籍だけでなく、それぞれの内容やおすすめポイントまで紹介されていて、樹木についてさらに学びたい人への配慮が感じられます。
参考サイトも充実しており、著者の樹木への愛情が伝わってきました。
世界には6万種以上の樹木が存在するといわれています。
まだ見ぬ樹木が世界中にたくさんあることを知り、「いつか会いに行ってみたい」という気持ちを強く刺激された一冊でした。


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